生産技術に配属って言われたけど、何する部署なの?
生産技術は負け組って聞いたけど実際どうなの?
生産技術の仕事内容を詳しく知りたい!
この記事ではこのようなお悩みにお答えします。
私は高専を卒業して大企業の工場に10年以上勤めています。
保全歴が7年、生産技術歴が3年で、どちらも機械担当です。
結論から言うと、生産技術は負け組ではありません!
私自身は、かなりホワイトな職業だと思っています。(ただし、大企業の場合です)
この記事では、現役生産技術者の私が、生産技術の仕事内容や負け組と言われる理由を詳しく解説します。
負け組とは言わせない理由も3つ解説するので、ぜひ参考にしてみてください。
「少しでもスキルアップして周りと差をつけたい!」
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生産技術とは、モノづくりの技術や設備を考える仕事
生産技術とは、モノを作るための技術や設備を考えて形にしたり、既存の設備を改善したりする仕事です。
例えば、自動車やスマートフォン、加工食品など、私たちの周りにあるさまざまな商品が工場で作られています。
生産技術者は、これらの商品をより良く、早く、安く作るための方法を考えて形にします。
会社によっては、設備のトラブル修理やメンテナンスといった設備保全の仕事も生産技術者が行います。
私の会社では、生産技術と保全は完全に切り離されていて、設備故障は保全部隊が担当し、新設備導入などは生産技術が対応します。
生産技術の主な仕事内容5つ
生産技術といっても普通の人にとっては、チンプンカンプンですよね。
生産技術者の仕事内容は多岐に渡りますが、主には以下の5つとなります。
- 新規設備の導入
新しい製品の製造にあたり、その製品を加工・組立・測定するための方法を考え、必要な設備を設計または購入し、現場に設置して立ち上げるまでを担当します。 - 既存設備の改善(自動化や効率化)
工場内で人が行っている作業をロボットで自動化できないか考えたり、今ある設備の能力や配置を見直して効率化を測ったりする。また製品の品質を上げるために設備改造を考えるのも仕事のひとつです。 - 新しい生産技術や検査装置の研究開発と導入
社内外の新しい技術が製造ラインに使えるか検討して導入する。とくに現在は社会的にも高品質なものが求められているため、高精度の検査装置や測定機器を導入して不良品出荷防止に努めている企業が多い。 - 老朽化設備の更新
工場にある古い機械をすべて最新型に入れ替えたり、一部のみ新しい部品に交換したりします。 - 設備の安全対策
工場で災害が起こりそうな危険な箇所をピックアップして、対策を考え実行する。
簡単に言えば「工場をよくするために色々やる」というのが生産技術者の仕事です。
また、生産技術が保全(設備の点検やメンテナンス、トラブル修理)も行う企業もあります。
頭を使う仕事から体を使う仕事まで、多岐に渡ります。
生産技術の主な日常業務
続いて、生産技術の日常業務を紹介します。
生産技術者の主な日常業務は以下の6つで、9割以上がデスクワークとなります。
あくまでも私の感覚ですが、割合も示します。
- CAD(図面描き):5%
- 会議・打合せ:20%
- 資料作成:70%
- 見積集め:(割合は資料作成に含む)
- 発注作業:(割合は資料作成に含む)
- 工事管理:5%
各項目の詳細はこちら↓(クリックすると開きます)
CAD(図面描き):5%
いかにも機械設計っぽい仕事ですね。
しかし「機械図面」とググって出てくるような細かな図面を描くわけではありません。
- 新しい設備が空いてるスペースにきちんと収まるか
- 設備を置くことでオペレーターの邪魔にならないか
- 通路や安全柵など安全対策は十分に行えているか
これらのことを満足しているかどうかを図面で検討します。
いわゆる構想設計や基本設計と呼ばれる工程です。
設備の具体的な動作を考えたり部品図を描いたりする詳細設計の仕事は、外注や派遣にお任せします。
会議・打合せ:20%
会議や打合せはたくさんあります。
プロジェクト会議や工事安全会議、部署内の定例会議、月報、安全会議などです。
自分に関係なさそうな会議にも参加しなければならず、会議や打合せだけで一日潰れることもあります。
資料作成:70%
日常業務の7割以上は資料作成です。
- 打合せ資料
- 部品や工事依頼の注文書
- 予算書
- 工程表
- 提案書
- 工事書類
- 工事報告書
- ‥など
毎日が資料作成との闘いですが、資料作成さえ早くなれば、仕事をマスターしたも同然となります。
ExcelやWord、PowerPointといったOfficeソフトを使いこなせば、「仕事できる人」認定されます。
見積集め:(割合は資料作成に含む)
とくに大規模な工事になると事前に見積を集めて予算に収まるかどうか確認する必要があります。
口頭やメールで見積のお願いをしたり、大規模になると見積をするための注文書を出したりもします。
見積するのもタダじゃありませんからね
予算オーバーならスペックや工事方法の見直しをしてコストダウンを検討します。
どうしてもという場合は、予算オーバーでもごり押しで提案します(笑)
発注作業:(割合は資料作成に含む)
新しい設備を導入するには、設計して作ってもらい、さらに作ったものを据え付けてもらわなければなりません。
設計から材料購入、加工、製作、組立、据付、動作確認など、やることはたくさんあります。
これらを外部業者に依頼するために、購入仕様書や工事仕様書といった注文書を作成します。
そのため仕様書には設計条件や製作方法、工事方法などを書きます。
また分かりやすく図面や表などを用いて、依頼を受ける側が理解できる内容にしなければなりません。
工事管理:5%
施工業者と工事の方法や日程を決めて、社内の色んな部署に連絡をします。
- 安全な方法で工事を行えるか
- 工事日当日は工事場所が確保されているか
- 他の工事とバッティングがないか
- 工事車両の駐車スペースはあるか
- 工事業者の休憩スペースやトイレの場所はあるか
- ‥など
工事をスムーズに行えるように事前に段取りをします。
段取りの良し悪しで工事業者から好かれるかどうかが決まります。
段取りが悪いと残業して夜中までかかったり、最悪の場合工事を中止したりといったことになります。
保全の仕事もある人は、点検やメンテナンスの計画、トラブル修理なども日常業務になります。
生産技術と保全両方ある部署は大変ですね…
生産技術が負け組と言われる5つの理由
生産技術が負け組と言われる理由を5つ紹介します。
- 地方勤務が多い
- 広く浅いスキルしか身に付かない
- 工場勤務で3K(きつい・汚い・危険)職場
- 仕事の成果がでるまで時間がかかる
- 休日出勤や夜間呼び出しがある
地方勤務が多い
生産技術が負け組と言われる理由1つ目は、地方勤務が多いことです。
工場は、土地の価格が高い都会よりも、山奥や海沿いなど地方に建設されることが多いです。
そのため、勤務地はだいたい田舎になります。
私の会社も全国に工場がありますが、駅から離れた山奥や海沿いがほとんどです。
入社して、初めて駅から工場までタクシーで案内されたときは、次第に田舎へ変わっていく風景に絶望しました…(笑)
駅まで遠い、バスが1時間に1本、近くに商業施設がない、車は必須など、不便なことだらけ。
都会のオフィス勤務に憧れている人にとっては、負け組と感じるでしょう。
広く浅いスキルしか身に付かない
生産技術が負け組と言われる理由2つ目は、広く浅いスキルしか身に付かないことです。
生産技術は、機械や電気、土建だけでなく、工事安全や法律の知識なども幅広く知っていなければなりません。
ですが、生産技術の最終的な仕事は、専門業者に依頼するところまでです。(特に大企業では)
生産技術の機械担当で例えると、「こういうのが作りたい」といった構想は考えても、実際にCADで図面を描いたり、強度計算したりは、外部業者に依頼します。
機械の修理も同じで、自分で作業はせず、外部の修理業者にお願いして工事管理するくらいです。
そのため、機械設計や機械保全といっても、ゴリゴリ計算して図面を描いたり、バチバチ溶接したりするわけではありません。
「生産技術で機械設計をやっていた」といっても、ガチの機械設計者にとっては、お遊び程度のスキルにすぎないのです。
生産技術は広く浅い知識しか身に付かず、誰でもできる、他では通用しないと思われてしまうので、負け組と言われるのでしょう。
工場勤務で3K(きつい・汚い・危険)職場
生産技術が負け組と言われる理由3つ目は、工場勤務で3K(きつい・汚い・危険)職場であることです。
工場勤務は3K(きつい・汚い・危険)職場というイメージを持つ人は多いでしょう。
実際、生産技術もデスクワークが基本ですが、現場で設備の中にもぐって汚れることもあります。
工場内は空調もないので、現場に行くだけで汗だくになり、給油で臭い、機械音がうるさいなどもあります。
私も現場で設備内にもぐった日は、家に帰ると妻に「くさっ!」と言われます。
また工場では、熱中症で倒れたり回転体に巻き込まれたり、軽い負傷から死亡事故まで労働災害のリスクもあります。
体力に自信がない人や清潔で安全な職場で働きたい人には、生産技術は合わないかもしれません。
成果がでるまで長すぎる
生産技術が負け組と言われる理由4つ目は、成果が出るまで長すぎることです。
新しい製品ラインの立上げや既存ライン改善を立案から実施して、効果を確認するまでは、数ヶ月から数年といった長い期間が必要とされます。
また、プロジェクトの途中で問題や課題に直面することもあり、予定通りに進まないことも少なくありません。
短期間で成果を求める人にとっては、生産技術者の仕事が遅いと誤解されることも少なくありません。
このように、すぐに成果が出ないことが、生産技術職に魅力を感じにくい要因となっています。
休日出勤や夜間呼び出しがある
生産技術が負け組と言われる理由5つ目は、休日出勤や夜間呼び出しがあることです。
工場によっては、平日はずっと稼働させたり、休祝日関係なく24時間稼働させたりと、生産時間はさまざまです。
設備の改造や部品交換などは、生産が停止していなければできないので、休日出勤して対応しなければなりません。
また24時間生産の工場では、夜中にトラブルこともあるので、夜間呼び出しもあります。
こうした、休日出勤や夜間呼び出しは、ワークライフバランスを崩す大きな要因となります。
保全の頃は、夜中の呼び出しが毎月のようにあったので、ベッドの横には社用携帯を置いて寝たり、プライベートの予定もキャンセルしたりして対応していました。
プライベートの時間を大切にしたい人には、休日出勤や夜間呼び出しがある生産技術はイヤでしょうね。
生産技術は負け組ではない3つの理由
生産技術は負け組ではない3つの理由を紹介します。
- 大企業であれば高年収で出世しやすい
- 接待を受けられる
- 億単位のお金を動かせる
これらの理由から決して負け組ではなく、むしろ多くのチャンスと可能性に満ちた職種であると言えます。
高い専門性を身につけ、幅広い人脈を築き、大きなプロジェクトを成功に導くことで、自身のキャリアを大きく飛躍させることが可能です。
大企業であれば高年収で出世しやすい
生産技術は負け組ではない理由1つ目は、大企業であれば高年収で出世しやすいことです。
生産技術職は、少数精鋭で構成されている場合が多く、個々の成果が目立ちやすい環境です。
ライバルも少なく、評価してもらいやすいので、出世もしやすいです。
大企業で出世すると、年収は大幅にアップし、20代で年収600万円以上も可能です!
年収が上がるとモチベーションアップにもつながって、決して負け組とは思いません。
接待を受けられる
生産技術は負け組ではない理由2つ目は、接待を受けられることです。
生産技術職は、工事をお願いしたり新商品を導入したりするので、施工業者の社長やメーカーの営業担当と直接関わります。
立場的には、生産技術側がお客様にあたるため、接待を受けられることもあります。
タダでゴルフに連れて行ってもらったり、高くておいしいお店に連れて行ってもらったり、最高すぎます。
このように、誰もがうらやむ接待を受けられるのは、生産技術の特権です!
億単位のお金を動かせる
生産技術は負け組ではない理由3つ目は、億単位のお金を動かせることです。
生産技術は、新しい生産ラインや既存ラインの大規模な改造など、億単位の投資プロジェクトに携わることができます。
億単位のお金を動かすって普通に考えたらすごいことですよね。
若手の頃から大規模なプロジェクトに携われるので、大きな責任とやりがいがあります。
企業のお金の流れを把握できるし、さまざまな部署、会社とも人脈ができます。
このように、億単位のお金を動かす機会は、生産技術者にとって大きな魅力の一つです。
生産技術は転職もしやすい
私の部署も同じですが、生産技術はつねに人手不足で困っています。(どの職種もそうかもしれませんが…)
とくに今は管理職になりたくない人が多いので、管理職候補で大卒以上を引っ張ってくる傾向が強いように感じます。
大企業で管理職になれば軽く年収は1,000万円を越えるので、20代~30代で転職を考えている人はチャンスです。
求人数の多いdodaに登録すれば、生産技術で求人を出している大企業がたくさん見つかります。
大企業の工場勤務になれば、20代で30代前半で年収700万円くらいもらえる企業もあるのでぜひチェックしてみてください。
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まとめ|生産技術は負け組どころかホワイト職
「生産技術は負け組」というのは、どこから出てきた言葉なんでしょうかね。
生産技術といっても大企業と中小企業で比べたら仕事内容は全然違うと思います。
大企業の中でも、忙しい生産技術もあれば暇すぎて何も仕事がないというところもあります。
つまり当たり外れがあるということです。
ただし、当たりの生産技術でも常に求人を出しているほど人材不足なのは変わりません。
もし、「自分が配属された生産技術は負け組だ」と不満が溜まっているのであれば、ぜひ他の企業の生産技術もチェックしてみましょう。
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